プロフィール
特産品加工組合
馬籠柚子加工組合
magomeyuzukakoukumiai
中津川市の有名な観光地である馬籠の柚子を加工して様々な商品を展開する組合。2015年ごろから14名の仲間が集まり柚餅子(ゆべし)を中心に加工をはじめ、馬籠に来る観光客を柚子商品でおもてなししている。
馬籠で柚子の加工を行いおもてなしの特産品を作っている馬籠柚子加工組合に加工を始めたきっかけとこれまでの苦労や大切にしていることなどを伺った。
はじめて聞きましたが、
馬籠は柚子が有名なのですか?
有名というか、馬籠に柚子はあったけど誰も気にしないものでした。寒い地域だったしたくさんの柚子が育つような地域じゃないんです。自分たちも最初は柚子なんて考えてなくて、行政の依頼で六次産業をはじめないかと相談があり、何かこの地域特有の加工できるモノはないかと村中探したのですが見当たらなかったんです。何度も何度も会議をしていたある日、この地域で捨てているものがあると参加者から柚子の話が出てきたことが柚子加工組合の始まりですね。もともと馬籠の家々の庭先に柚子の木はあったんですが、植木のような感覚で見慣れすぎて特産品になるなんて考えてなかったんです。柚子は、種から育て実を収穫するまでに18年ほどかかる木で、昔から馬籠に当たり前にありました。

柚餅子を片手に話をしてくれるやさしい組合長

畑の脇に植えてあった柚子の木
灯台下暗しの柚子なんですね(笑)主にどんな柚子加工をして商品を作っているのですか?
今は柚餅子と柚子果汁を主につくっています。柚餅子は馬籠味噌という地元の味噌と小麦粉などを混ぜ合わせたものに地元でとれたクルミやゴマなどを加えて、柚子皮の器に入れ、蒸して2カ月乾燥させた珍味です。柚子果汁はその際にでる果汁や柚餅子にするには形の悪い柚子を、まるごと手絞りしています。馬籠の柚子は収穫を少し遅めにしているので熟した芳醇な酸味と香りが特徴ですね。
初年度の加工は、柚子に決まったタイミングが遅くて、決まったときにすぐ収穫して一週間後にみんなで柚餅子づくりというようなスケジュールで・・・・みんな何もわからないなか一生懸命作業して、味噌と小麦の混ぜ方もわからないから手袋が混ぜてる際に持って行かれてしまって(笑)柚餅子って馬籠でも一部の家庭で昔から作っていたのですが、自分たちは知らなかったので大変でしたね。

蒸しあがった柚餅子

手絞りの柚子果汁
最初の年はバタバタだったんですね(笑)そんな中どういった方々が集まって加工を始めたんですか?
初年度、加工まで一週間しかない中で誰かいないかと同級生などに声をかけて、そこから話が広がって集まった十四人で始めました。なので同級生が多いですね。最初のころは同級生だからこそなのかもしれないですが、呼ばれたので行こうかなというような雰囲気で、組合の中でも温度差みたいなものがあったのですが、今はないですね。つまらない会議をするような感覚ではなく、取り組みをするにあたり「楽しく・面白く」を気にしながら活動してきたことがよかったのだと思います。なので今は作業効率も二倍になりましたね。
今までの職種もみんな違うので組合員の個性も豊富で、元左官屋さんの組合員がいれば、柚餅子スライスの商品を綺麗にパッケージできる方法をずっと考えて努力してみたり、トヨタの下請けで働いていた組合員は柚子加工の際の流れを見ていたり。そのおかげで今加工している商品は努力して丁寧に作られています。不思議にバランスのいい組合員が集まっているんですよね。

大変だと苦労を語りながらも笑顔

組合員の休憩
「楽しく・面白く」すごくいいですね。モチベーションがみんな上がったという感じですかね?
組合の仲間は「夢」という表現をしてましたね。いくつになっても関係ないと思いますが、自分たちの夢みたいな感覚で取り組めていることがすごくうれしいと話してました。チャレンジ精神って持ってると今の自分たちみたいにどんどん力が湧いてくるのかなって思ってます。単純に楽しいって言えないこともあるけれど、お金ではない何かをもらえているような気がしていて。
今ではみんな自分事化して、こうしたほうがいいんじゃないかって考えるようになっていったんです。二年目の柚餅子のスライスのパッケージなんかも気に入らなくて最終的には回収してみんなで食べました(笑)それくらい商品に対してプライドというか、しっかりとしたものを出したいという欲が出てきたんだと思います。

作業のチェック

スライスの試行錯誤
チャレンジ精神と一緒に夢見る仲間がいることが大きいですね。
でも思うんですけど商売ってそんなに簡単じゃないですよね?
本当にそう感じています。みんな加工はうまくなったし、早くなったし。綺麗な商品を丁寧に作れるようにもなったけれど、でもその次が難しくて。これからそこを頑張っていかなければいけないところですね。一生懸命持って歩いて一個買ってもらって、そしたら次の年に十個買ってもらってというように地道に努力していかなければいけないと思っていますね。そのためにいま新しく柚餅子は「馬籠黒柚餅子」という商品名でパッケージのデザインを見直していますし、柚子果汁も「あますことない柚子果汁」という商品名でデザインしていますので、また皆さんに見ていただけるようにもう少し頑張りますね。

検討中のパッケージ